2010年9月14日火曜日
ライフスタイル改善プログラム《メールマガジン第6号》
スポーツ医学研究センターでは、ライフスタイル改善プログラム参加者に向けて、メールマガジンを発信しています。
小熊祐子准教授を中心とし、管理栄養士の橋本玲子先生、スポ研スタッフ、スポマネ大学院生が持ち回りで、運動や食事に関する『健康的に過ごすため』の役立つ情報を配信しています。
プログラム参加者以外の方にもとても有用な情報ですので、
こちらのブログにも転載します。
このメールマガジンは2009年9月に配信されました。
**メールマガジン第6号**
メタボ改善プログラム参加者の皆様
このところさわやかな秋晴れが続いています。皆様、いかがお過ごしですか。
今回は、このプログラムにもスタッフとしてお手伝いいただいている、大学院健康マネジメント研究科博士課程の原田さんに、ショートテニスについて、ご紹介いただきました。
メールマガジンVol.6 ショートテニス特集
文責 慶應義塾大学 大学院健康マネジメント研究科 原田昇
[自己紹介]
大学院では、テニスや卓球のような球技のシニアスポーツとしての優位性を幅広い観点から見出し、さらに大人になってからでは難しいといわれるそれらの球技技術の習得がどうしたら可能になるかを研究しています。
[ショートテニス特集]
テニス習得の難しさを克服するために開発された「ショートテニス」は、スポンジボールでプレーするため誰でも簡単にラリーを楽しむことができる優れた球技です。今回はこのショートテニスのシニアスポーツとしての優位性を運動生理学の側面から分析した結果をご紹介したいと思います。
[ショートテニスの誕生と歴史]
硬式テニス習得の難しさを克服するために広範な研究がおこなわれ,1970年代にスウエーデンでショートテニスが開発されました(Techinical Sport Data Jan 1985 No.18)。1981年には、英国のLawn Tennis Associationがショ−トテニス を試験的に2000校の学校、レジャーセンター、民間のテニスクラブに導入し、将来のテニスプレーヤーを育てることを主な目的として本格的なル−ル作りが行われました。
日本では、NPO法人ショートテニス振興会が1985年に設立され普及活動を行っています。また毎年9月23日の「テニスの日」には、日本テニス協会、日本テニス事業協会、日本テニス女子連盟も子供たちのためのショートテニス教室を開催し普及活動を行っています。
一方、シニアを対象としたテニスの普及活動は、地域のテニス協会に一任されていますが、各協会の取り組みは一様ではなく、概して積極的ではないのが現状です。
[ショートテニスの用具]
ショートテニスのコートの広さは89.78m2 、通常のテニスコートの約1/3の広さです。またラケットは硬式に比べ約15cm短く、ボールはスポンジボ−ルを使用します。
[ショートテニスの運動強度]
運動をする本人の体力に合わせた「運動のきつさ」を表す指標の一つに酸素摂取リザーブという数値があります。アメリカスポーツ医学会は、この値が40%から60%水準であればその運動をシニアにふさわしい運動としています。我々が、ショートテニス試行中の酸素摂取量の測定を行ったところ、ショートテニスのダブルスの酸素摂取リザーブの値が38%を示し、概ねシニアにふさわしい運動強度(相対的)の値を示しました。シングルスでは酸素摂取リザーブ値は67%となりややきつめの運動であることがわかりました。
運動強度とは別の話になりますが、ショートテニスにおいては初心者でもゲーム中のラリーが続くため(ダブルス平均2.6回)、定常的に中程度の酸素消費が可能になっていることがわかりました。このことは、ダブルスプレー中の心拍数が平均98bpmで安定的に推移していることからも確認できました。
[まとめ]
ショートテニスの運動強度はゲームやラリーの内容、被験者自身の運動習慣の有無により運動強度が異なりますが、ショートテニスのダブルスは1)シニアにとり適度な運動負荷量を持っている。2)ラリーが続くことから初心者でも運動効率よくプレーをすることができることが示されました。
今後の研究においては、被験者の数を増やすと同時に実際にシニアの人たちを対象とした評価を行い、シニアスポーツとしての有用性を詳細に検証していく必要があると考えています。
[皆さんへのメッセージ]
ショートテニスはスポンジボ−ル(一個250円から350円)とラケット(5000円)さえあれば、広い場所がなくても手軽に楽しむことができます。ネットも5000円くらいで買うことができますがなくても十分楽しめます。是非試しにプレーをしてみてください。ただしボールが軽いため、風が強い日の屋外でのプレーは難しくなります。
皆さんのご興味があればオフ会で取り上げてもらい一緒にショートテニスを楽しみましょう。

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