2013年2月25日月曜日

Food&Health 第一回講座に参加しました

2013年2月8日(金)
スポーツ医学研究センターの研究員でもあるスポーツ栄養士の
橋本玲子先生が代表取締役を務める
(株)Food Connnection主催「Food&Health講座」に参加して参りました。

この講座は、食と健康に関する講義が月に一回のペースで行われる全8回の講座です。
講座についての詳細はコチラをご覧下さい→Food&Health講座

第一回のテーマは、
「日本のトップアスリートと次世代を担うジュニアアスリートは、何を食べているの?」
講師:橋本玲子先生

スポーツ医学研究センターでは、高校生や大学生アスリートの様々なサポートを行っています。体組成やトレーニングのアドバイスに栄養と食事の話は切り離せません。

橋本先生には、「強くなるためのスポーツ医学基礎講座:スポーツと栄養」の講師もお願いしています。
昨年の11月にこの講座内で橋本先生が使用した食生活チェック表「あなたの食生活大丈夫?」の結果でも明らかになりましたが、慶應義塾の大学生、高校生アスリートの食生活はとても貧しい内容です。
(アンケート集計結果については、Newsletter No.12でご紹介していますコチラからダウンロードできます)
学内アスリート達の参考にすべく、スタッフが勉強してきましたのでご報告します。

講座では、まず、橋本先生がアドバイザーを務める、プロサッカーチーム 横浜F・マリノス、社会人ラグビーチーム パナソニックワイルドナイツで提供されている食事の紹介がありました。
いずれのチームも選手の食事や栄養に関してとても理解があり、充実した内容の食事を食堂で提供しているそうです。
栄養バランスや選手の嗜好に配慮しているだけでなく、毎日厳しい練習をこなしている選手たちが、リラックスして美味しく食事が摂れる環境が整えられています。

しかし、たとえプロの選手でも、特に若手選手は「食事量が少ない、好きなものしか食べない」など課題もあるそうです。 それに比べ、ベテランの選手は、野菜をしっかり摂ったり、肉や魚をバランスよく選ぶ、活動量に見合った食事量を調節できる、など自分に合った食べ方を身に付けているのが大きな違いだそうです。

食に興味がなく、しっかりとした食事を摂る意識の低い選手は『選手生活が短い』というお話が印象に残りました。ケガをせず、スポーツを長く続けるために、
バランスのとれた毎日食事はとても大切なのです。

ここからジュニアアスリートの食事に移る前に、「日本の小・中学生の食生活の現状」についてのお話がありました。

朝食を毎日摂る児童生徒は9割近くいる一方で「ほとんど食べない」子どもの割合は年々増加しているそうです。
そして、子どもの肥満が問題視されている一方で、実は子どもの1日のエネルギー摂取量は年々減少しているそうなのです。それに伴い、やせと肥満のこどもの割合が増加し「普通」の体型の子どもの割合は減少傾向だそうです。
飽食の時代と長く言われてきた日本。
家庭内の食環境をしっかり見直すべき時ですね。

ここで、前述ました、私たちスポーツ医学研究センターのニューズレターNo.12に掲載した、慶應義塾体育会学生・高校生の食生活チェック表まとめをご紹介いただきました。
このアンケートでも、朝食の欠食は大学生で17.6%、高校生で13.9%、おかずや野菜、乳製品、果物の不足が目立ち、大学生・高校生アスリートに必要なエネルギー量は足りていないことを参加者のみなさんにご理解いただけたと思います。

では、次世代を担うスポーツをする子ども達が強い身体と心をつくるためにどうすればいいのか。

朝食をしっかり摂る
おかずは1日3食毎回食べる
野菜を残さず食べる
牛乳を毎日飲む
果物を毎日食べる
補食は量と質、タイミングを考えて
水分を積極的にとる

以上のルールを守りましょう。ということです。

この中でも特に気をつけたいのが、
朝食をしっかり摂る、3食では摂りきれない栄養を補食で補う、野菜を食べる。

補食(間食・おやつ)のおすすめは、おにぎりや肉まん、バナナ、レーズン、ヨーグルトなど低脂肪でタンパク質やビタミン、ミネラルを含む食品です。
チョコデニッシュやカレーパン、インスタントラーメン、ハンバーガー、ポテトチップスなど脂質が多く、エネルギーとしては高いがビタミン・ミネラルに欠けるものは控えた方がよいそうです。
いかがですか?
難しいでしょうか?

でも、これはアスリートにだけ必要なことではなく、
成長期にある子どもから大学生には当たり前に必要なことです。

大学生アスリート諸君、出来てますか?
頑張りましょう。
「毎日、毎回」です。
毎日少しずつでも難しいことが、週末にまとめて食べる、朝食を抜いたぶんを、昼・夜で摂る、なんてことが出来るわけがありません。
こつこつ努力しましょう。

講義の後、会場を移し、テーマに合わせた野菜たっぷりのディナープレート(写真)が振る舞われました。
シェフは文教大学健康栄養学部の岩井達先生です。
 今回のディナープレートは『スポーツ選手が喜ぶ!Veggie(野菜)料理』(写真)でした。
野菜がふんだんに使用され、タンパク質はベジバーガー、薄切りグルテン、豆乳などの植物性タンパク質を使用したお食事で、ランチボックスに詰められた姿はそんなにボリュームがあるようには思えませんでしたが、とても満足感がありました。
とにかく、よく咀嚼しなければならないので、普段ついよく噛まずに早や食べな私も完食するのに時間がかかりました。

岩井先生は、このディナープレート一食で野菜を200グラム使用しているとおっしゃっていました。
一日の野菜摂取推奨量が350グラム、そのうち緑黄色野菜が150グラムだそうです。

野菜料理は手間がかかりますし、大学生の一人暮らしではなかなか難しいかもしれません。ですが、工夫して積極的に食べて欲しいと思います。

ここで、岩井先生から、大変興味深いお話がありました。
子どもが野菜嫌いになる原因のひとつに「離乳食の進め方に問題がある」
「母乳の主成分はラクトースという糖ですが、実際はそんなに美味しく甘い味ではありません。母乳から離乳食に移行する際、果糖(甘さ)を先に与えることにより、野菜の味をまずいと感じてしまう。だから野菜嫌いになる」とおっしゃっていました。
母乳以外の味を慣れされるために、赤ちゃんに薄めた果汁を与えるの事は育児書に書いてあったと思います。でも、もしかしたらそれが野菜嫌いになる原因 になるのかもしれません。
野菜嫌いの原因が離乳を始める赤ちゃんにまで遡ることに、会場から驚きの声とちょっとあきらめの声が混じりました。
野菜嫌いを克服するには、努力と工夫が必要ですね。
これから離乳食を始める赤ちゃんのお母さまにはぜひ参考にしていただきたいと思います。

さて、この 「Food&Health講座」は、これから一年にわたり、全8回開催される予定です。
交流会では、スポーツの現場で働いている栄養士さん、ラグビーのクラブチームのコーチの方、介護の現場で働く方など、食に対する意識の高い、様々な職種、環境の方が集まり、活発な意見の交換が行われていました。
人見知りな私はまだまだですが、今後は頑張って情報交換に務めたいと思います。

まだ、わずかに残席があるそうなので、
ご興味をもたれた方はぜひご参加されてはいかがでしょうか。
私もあと数回参加予定ですので、またご報告したいと思います。

(株)Food Connnection主催の「Food&Health講座」の詳細とお申し込みは→コチラ☆

Tsunekawa.N記