2014年6月20日金曜日

2014年6月:強くなるためのスポーツ医学基礎講座

強くなるためのスポーツ医学基礎講座:
「熱中症予防」最新の知識 が行われました。

地球温暖化にともなう夏場の気温上昇が問題となること久しく、
熱中症に対する考え方や、予防の知識が一般に広まっています。

ですが、残念なことに、学内スポーツの現場では、熱中症の報告は後を絶たず、今年もすでに体育会部員が熱中症で病院に運ばれた事故が発生しています。

講座では、運動部の代表61名(体育会は必須参加)が集まり、
スポーツ現場での熱中症予防について、

1)熱中症はどうしておきるか?
2)熱中症の予防
3)熱中症が疑われた時の処置

をテーマに石田浩之准教授による講座が行われました。

熱中症にならないためには、まずその日の気象条件を知る事が大事です。

環境省 熱中症予防情報サイト
http://www.wbgt.env.go.jp/

では、気温 湿度 輻射熱 を取り入れた、暑さ指数WBGT(湿球黒球温度)が掲載されています。
さらに、日本体育協会では、WBGTを目安とした運動指針に関する指針を公表しています。
http://www.wbgt.env.go.jp/wbgt.php

参考にして、練習時間や内容を考えましょう。

と言っても、近年夏場では、連日WBGT31℃を超える日が続くことも多く、すべての練習や試合を指針に従って中止することは、現実的に難しいこともあるでしょう。

そこで、予め気象状況を知っておき、しっかりとした知識を持って予防を行い、万が一、熱中症が起きた場合の対策をとっておくことがとても大切です。

熱中症予防の方法として、水分を摂取することは部員の間でもしっかり定着しているようです。
ですが、スポーツ現場では、何をいつどれくらい飲むべきなのかについて、以下の説明がありました。 

【スポーツ現場での水分摂取方法】

◎試合の4時間前に体重1kgあたり5-7mlの水分摂取
◎排尿がないor尿色が濃い→2時間前にさらに3-5ml/kg摂取
◎45-70mg/100mlのナトリウムが入ったものがよい
◎糖分の濃度は6-8%←30分以上の運動はエネルギー補給が必要
◎水分摂取は喉が渇いていなくても行う
◎自分に合ったスポーツドリンクを見つける
◎運動後は体重減少量の1.5倍の水分をすこしずつ摂取

熱中症が疑われた時の処置としては、

・軽度(熱痙攣)では、塩分と水分の補給をする

・中等度(熱疲労)では、涼しい場所へ移動し、身体を冷却し足を高くして寝かせる、塩分と水分の補給を行い、それでも回復しなければ病院へ搬送する

・意識障害があり、発汗が停止、皮膚が赤く熱くなるような重症(熱射病)では、すぐに救急車を要請する。到着を待つ間、全員で冷却を行う。

重症時の冷却方法は、
足を高くして寝かせ、衣服はできれば脱がす。脇や首などを氷で冷やす。さらに身体にうすく水をかけ、扇風機やあおぐことで水を蒸発させ、熱を発散させる、【蒸散冷却法】の説明がありました。

最後に、熱中症予防のポイントとして

◎気温・湿度をモニターする
◎適切な水分摂取と休養
◎急に暑くなった日に起りやすい
◎新入部員は要注意
◎できれば徐々に高温環境に馴らしていく
(高温環境への馴化には2週間かかる)
◎馴化には個人差がある
◎ウェアは頻繁に取り替える
◎可能な限り通気性のよりウェアを着用
◎帽子を着用

をまとめとし、部に必ず持ち帰り、これだけは他の部員に伝えて欲しいとお願いして講座は終了しました。
アスリートのみなさん、ぜひ参考にしていただき、夏場のスポーツ活動を安全に行って下さい。