小熊祐子準教授を中心とし、管理栄養士の橋本玲子先生、スポ研スタッフ、スポマネ大学院生が持ち回りで、運動や食事に関する『健康的に過ごすため』の役立つ情報を配信しています。
プログラム参加者以外の方にもとても有用な情報ですので、
こちらのブログにも転載します。
**ライフスタイル改善プログラム≪メールマガジン第1号≫**
※このメールマガジンは2009年2月に配信されました
今回は、先日のオフ会で、まだまだ一般の方には誤解が多いのかも・・と認識した点
「運動は、20分以上は行わないと効果はない?脂肪を燃やすには、
負荷の軽い運動がいい?」について、簡単にまとめてみました。
オフ会で話があがったもので、是非知っておいていただきたい点をまとめてみました。
今回配信するのは、そのうちの一番目の点です。
1. 運動は、20分以上は行わないと効果はない?
脂肪を燃やすには、負荷の軽い運動がいい?
“脂肪を燃やすには、負荷の軽い運動がいい。”
“20分以上しないと、脂肪が燃えてこないので、20分以上は行う必要がある。”
・・などということを聞いたことはありませんか?
われわれの身体のエネルギー源には主に炭水化物(糖質)と脂質があります。
そして、運動の強度が高いほど、炭水化物の利用率が高い。
強度の弱い運動ほど脂質の利用率が高いのです。かつ、経時的にみると、
同じ運動強度でも、運動継続時間長くなるほど消費エネルギー源として、
炭水化物から脂質の依存度が高くなります。
(下図.「入門運動生理学第3版」杏林書院より)


これだけ考えると、弱い強度の運動を長く行う方が脂肪燃焼には有利に思われるでしょう? 実は必ずしもそうではありません。なぜなら、運動後のエネルギー消費が加味されるからです。すなわち、運動中は確かに、強度の高い運動あるいは時間の短い運動では、エネルギー源として炭水化物の利用度が高いのですが、これらの炭水化物の体内貯蔵は決して多いものではなく(*)、運動終了後摂取された炭水化物は筋肉や肝臓のグリコーゲン貯蔵を補うことに使われ、その分エネルギー源としては、脂肪が使われることになるのです。
ですから、20分以上行わなければ意味がないとか、弱めの運動にしておかないといけない、というのは、間違いです。
短い時間でもいい(最短10分目安)ので、こまめに身体を動かす機会を作りましょう。
ただし全体でのエネルギー消費量を考えると、慣れてきたら、ある程度まとまった時間運動できるようにしたいものです。運動の強度については、安全面からも無理のない強度、せいぜい早足くらい(ニコニコペースといいます)ではじめることをお勧めします。
強度を増やすと脂肪が燃えなくなるわけではないので、慣れてきて、また、できるようなら(ここは無理しなくていいのです、できる人だけやればいい)強度を増すと、短い時間で比較的多くのエネルギー消費につながり、効率的です。
体力増強という意味では、運動強度の高い方がより効果的です。
* 3大栄養素(マクロニュートリエント)
私たちの身体の中でエネルギー源となる栄養素は、炭水化物(糖質)、脂質、タンパク質です。この3つを“3大栄養素”あるいは”マクロニュートリエント(macronutrient)”といいます。
ご存じのように、炭水化物とタンパク質は1gで4kcal、脂質は9kcalのエネルギーになります。ただし、たんぱく質は、通常の状態ではエネルギー源として使われることはほとんどありません。炭水化物と脂質が主なエネルギー源となるわけです。
これらの3大栄養素は、体内では、
炭水化物 → グリコーゲン(肝臓、筋肉)
脂質 → 体脂肪
タンパク質 → 遊離アミノ酸
の形で蓄えられています(次の図)。

グリコーゲンは200−400g (800-1600kcal)、せいぜい1日の摂取エネルギー相当の蓄積、
タンパク質のエネルギー源としての蓄積はほとんどありません。
脂質については、人による差が大きく、5-10数kg、エネルギーにして3.5-10万kcal!
となります。
お話したいことは、まだまだたくさんありますが、今日はこれくらいにしておきます。
メタボ改善プログラム担当
小熊祐子